季節の移り変わりは気温の変化だけではなく、目で見てより一層感じるもの。和歌や文献を見ても季節に合わせた美しい花々の咲き誇る様子が描かれているものが多くありますよね。
日本の花といえば桜ですが、その桜が終わった後に最盛期を迎えるのが藤の花。空から降り注ぐように咲く淡い紫色や白の花はたおやかで、独特の美しさがあります。そんな藤の花で一躍世界に名を轟かせたのが、北九州市にある「河内藤園」です。今回は「河内藤園」への旅に出かけてみましょう。
「河内藤園」とはどんなところ?
昭和52年に開園した河内藤園。北九州市や国が運営をする公園ではなく、個人が管理、運営している公園です。
160メートルにもなる藤のトンネルの他、大きな藤棚や藤のドームなどを兼ね備えた美しい公園ですが、その名が全国的に知られるようになったのはつい最近のこと。というのも藤の花の保護、育成を重要視している河内藤園は広告を出して観光客を呼び込む、ということを一切行っていませんでした。
知る人ぞ知る名所で、口コミで訪れる方がほとんどだったと言います。そんな河内藤園が一気に注目を集めたのは2012年、海外のインターネットサイトで「実在する世界の美しい場所10選」、そしてアメリカCNNの「日本の最も美しい場所31選」に選ばれたことがきっかけです。
日本の藤の花は固有種で、いかにも日本らしい風情が選出の決めてになったのでしょう。
圧倒的な美しさ!藤のトンネル
河内藤園は広さ3000坪の巨大な公園です。山道を進んで行った先に現れるのは藤の花で満たされた楽園。あまりの美しさに言葉を失ってしまうことでしょう。
入園して最初に目に飛び込んで来るのがどこまでも続く藤のトンネルです。様々な種類の藤の花がとても美しいグラデーションを作っており、何度も足が止まってしまいます。トンネルを歩くと藤の花の品の良い控えめな香りを感じられますよ。
ひとつひとつは小さな花でも、集まるとここまで壮大な景色になるのか!と驚いてしまうこと間違いなし。藤のトンネルは長さ110メートル、60メートルの2つ。まずは長い方のトンネルを抜け、その先にある藤のドームへ進むのをおすすめします。藤を見上げながら、ゆっくりゆったり進みましょう。
世界にここだけ!藤のドーム
藤のトンネルを抜けると次に現れるのは2つの藤のドームです。半円状に組まれたドーム型の藤棚で、小さな入り口が設けられています。中に入ってみると四方すべてが藤の花!!こんな空間はきっと世界で河内藤園だけでしょう。
右も左も藤の花で満たされたドームの中では、ハチたちが忙しそうに行き来しています。満開の時期はもちろんですが、少し時期を外すと葉っぱの緑と藤の花の青紫が美しく調和しており、こちらも見応え十分!
河内藤園では藤の花の種類にもぜひ注目してください。全部でなんと22種類もの藤の花に出会えます。ドームとトンネルも色が異なり、とても幻想的です。
大藤棚は藤のシャワーのよう!
ドームを後にすると見えてくるのが大きな藤棚です。藤のトンネルが有名ですが、この藤棚も見応え抜群!藤の花が目のすぐ前まで垂れ下がって来ています。
所々にある大きな曲がりくねった樹が藤の木です。この藤の木がツルを伸ばし、藤棚を作っているのですね。しかし藤の木は、放っておくだけでは花が咲かない植物です。花の芽を残し、年に2度の剪定が必要。
剪定をしても、突然花が咲かなくなることもあります。手のかかる藤の花をこれだけ鮮やかに咲かせることができるのは、手入れがしっかりと行き届いている証拠です。
藤の季節はチケットの購入を!
世界で認められた藤園を見ようと、時期になると多くの方が訪れます。渋滞の緩和や藤の花の保護のため、1日の入場者数が制限されているので注意しましょう。藤の花の時期にはコンビニで事前予約が必要です。
チケットの価格は変動制。藤の咲き具合によって1000円から1500円の間で変わります。コンビニで500円の予約金を支払い、現地の到着カウンターでその日の差額を支払う仕組みです。当日の差額が1000円であれば、最も美しい時期の藤が見られるので当日をお楽しみに。
河内藤園は一大ブームを巻き起こしている「鬼滅の刃」の聖地とも言われています。鬼滅の刃に登場する満開の藤の花の描写はとても印象的なシーン。その事もあり、2021年は更なる混雑が予想されます。必ず事前のチケット購入を!
藤の花の美しさを堪能する旅へ
今回は北九州市、河内藤園をご紹介しました。私達日本人は昔から季節の流れにとても敏感で、季節ごとの情緒をキャッチしやすい感性を持っています。普段は花に触れる機会は少ない、という方でも十分に楽しめること間違いなし!季節の花で彩られる日本の美しさを再確認する旅へとぜひ出かけてみませんか。
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