中古一戸建てならではのリノベーションするメリットがあります!
でも、リノベの前に中古戸建てゆえの注意点があることを知っておきましょう。
希望のエリアでなかなか新築物件を探すことは難しい場合がありますが、中古なら見つかる可能性が高くなります。一般的んは新築よりもかなり安価で購入できます。しかも、日本の中古住宅の家そのもは築20~30年で不動産としての評価がほぼゼロになり、解体を前提とした『古家付き土地』として売られていることが多く、そうした築古物件はほぼ土地代のみで購入できます。購入コストを抑えられた分を、リノベーション費用に掛けることができます。状態の良い家を見極められれば、耐震補強工事や劣化部分の補修など、きちんと手を入れて長く住み継ぐことができます。居住性能が向上するリノベーションを行えば、新築と同等、またはそれ以上の快適環境を手に入れることも可能です。
吹き抜けやロフトをつくるなど、立体的な空間づくりが可能になる戸建て。窓を増やしたり、減築して庭をつくるなど、外部と一体化した環境をつくることができることも戸建てリノベーションの魅力です。快適に安心して暮らせるよう断熱性能や耐震補強はの強化はもちろん、注文住宅の標準仕様に縛られず、魅力的な自分好みの家を得やすいのも利点です。
しかし、中古一戸建て住宅ゆえの注意点があることを見逃さないことも必要です。まず、構造の見えない部分の状態を確認できないことがあります。表面からは構造部分の状態が分からず、いざスケルトン状態にしてみたら補強工事等に予定外のコストが掛かってしまうケースも考えられます。
間取り変更の自由度が高いリノベーションを行う場合は、変更しやすい工法とそうでない工法があるので注意が必要です。
一戸建て住宅に最も多いのが「木造軸組工法」です。柱と梁で構造が組まれている軸組工法の家は、壁をとって間取りの変更をするのが容易です。「2×4工法」は壁で建物を支える構造なので、耐力壁などの取り払えない壁が多く、間取りの変更に制約が生じます。「RC(鉄筋コンクリート)造」にはラーメン構造と壁式構造の2タイプありますが、ラーメン構造柱なら梁で組まれた構造なので間取りの変更が可能です。「プレハブ工法」は素材によって木質系、鉄骨系、コンクリート系に分かれます。鉄骨系のプレハブ工法は柱と梁の構造なので間取りの変更がしやすいのですが、木質系、コンクリート系は壁式構造なので容易ではありません。「特にボックス型ユニットを現場へ運んで積み上げるようなプレハブ工法の場合は、間取りの変更がほとんどできません。
鉄骨造は「重量鉄骨造」と「軽量鉄骨造」があり、いずれも柱と梁の構造ですが、軽量鉄骨は建物を支える壁の移動が制約されます。
マンション・戸建てに関わらず、リノベーションではもとの住居の枠組みを再利用します。そのため、もとの枠組みの耐久性や劣化の有無・耐震性を調べる必要があります。建物の耐震性については、どの時期の耐震基準法で建てられているかが目安になります。木造住宅の改正建築基準法(現行法)が施行された2000年6月以降に建築確認申請された家は「一応倒壊しない」と言われています。以前の新耐震基準(1981年6月〜2000年5月)、さらに以前の旧耐震基準(〜1981年5月)の耐震基準で建てられた家は耐震性が低く、倒壊する可能性が高い、あるいは可能性がある家がほとんどです。
1950年から2000年までに建てられた、2階建て以下の木造在来工法住宅の9割以上の家が耐震性が不足していると、日本木造住宅耐震補強事業者協同組合(木耐協)の調査で出ています。
それ以前の建物は旧耐震基準ですが、耐震適合証明を受けた建物は、新耐震相当の耐震性がみとめられます。
もし1981年以前の建物で、耐震適合証明もない場合、耐震診断を受けることで、現在の耐震性と必要な補強工事を知ることができます。
大手ハウスメーカーなど、強い構造にこだわった会社の家は構造がしっかりしている傾向があります。現在の建築基準法の改正以前に建てられた家でも耐震基準を満たしているケースも見られます。そうした家なら、耐震改修にかかるコストを抑えられることも可能です。
一戸建てをリノベーションする際は、必ず地域の規制を確認しましょう。
戸建てはマンションと違い、建物ごと専有できるため増築も可能です。ただし、増築はまったく自由にできるわけではなく、都市計画上の区分によって容積率・建ぺい率の上限が定められています(都市計画法・建築基準法)。陽当たりや眺望・火災時の安全といった理由から、所有地いっぱいに建物を建ててはいけないことになっています。
「建ぺい率」と「容積率」がオーバーしている物件は、住宅ローンが使えない場合が多くなります。建ぺい率とは敷地面積に対する建築面積の割合。100m2の土地で建ぺい率が70%なら、建築面積70m2の建物を建てることができます。容積率とは敷地面積に対する延床面積の割合。100m2の土地で容積率が150%なら、延床面積150m2の建物を建てることができます。
建ぺい率・容積率オーバーという違反物件は意外と多いのが実状です。旗竿地、変形地、擁壁上に建つ家などは比較的人気が低く、その分、販売価格も抑えた価格であることが多いのですが、地図や間取図といった資料を見るだけでは実際の良さが分からない現状です。また、防火地域・準防火地域では一定以上の耐火性能が認められる建材の使用が義務づけられています。防火地域では、木造住宅は建てられません。準防火地域では、外壁など延焼の危険がある部分を耐火構造にしなくてはなりません。
敷地に接する道路の幅が4m未満の土地では、「セットバック」といって、4m以上の道路幅を確保できるよう、建物を建てられる範囲が制限されます。道路の幅が4m未満の土地でも、将来、道路幅を片側2mに拡張することが決まったら、建物の一部を取り壊して「減築」しなければならなくなります。もし建て替えとなった場合は、要セットバックの部分を避ければ新築はできます。
さらに、地域によっては景観法により、建物の高さや外壁の色に制限がある場合もあります。
リノベーションの物件は専門家に相談しながら探す!
中古一戸建ての家には図面がないことが多く、基礎に鉄筋が入っているか、雨漏りはしていないか、シロアリ被害はないかなど、現場を見ないと構造がどうなっているか判断できません。診断費用は掛かりますが、耐震性、劣化具合など建物の状況を、ホームインスペクター(住宅診断士)や一級建築士など専門家に確認してもらうと安心です。専門家に確認してもらうことで明らかな欠陥住宅を回避できますし、その物件がリノベーションに適しているか、耐震改修の必要度や工事費の目安なども事前に分かるので、安心して購入できます。設計担当者と一緒に確認すれば、実際の家を見ながら、間取りを構想したり打ち合わせたりすることもでき、理想の住まいを手に入れやすくなります。
中古一戸建ての家でも、適切にリノベーションすることによって、長く暮らせる心地よい住空間を生み出すことが可能です。